2010 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック分子導入による光機能性タンパク質の開発と機能メカニズムの解明
Project/Area Number |
21550049
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲田 妙子 北里大学, 理学部, 講師 (60286375)
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Keywords | 光制御 / ニワトリ卵白リゾチーム |
Research Abstract |
本研究では,フォトクロミズムと酵素タンパク質の特質を活かした光機能性材料の開発を目指している.モデルタンパク質として,立体構造と酵素反応のメカニズムが解明されている酵素タンパク質のひとつであるニワトリ卵白リゾチーム(EC.3.2.1.17)を用いた.酵素タンパク質に導入する光応答基には,代表的なフォトクロミック分子の一つであるジアリールエテン誘導体を選んだ.まず,タンパク質の立体構造と昨年度の実験結果をもとに,光応答基の分子設計および導入位置を検討し,アミノ基を有するジアリールエテン誘導体を合成した.つぎに,この光応答基をタンパク質中の特定のカルボキシル基(Asp87)に位置選択的に導入した.そして,合成した光応答性タンパク質について,光応答基部分のフォトクロミズムに伴う立体構造変化,光反応,酵素反応,キサンテン系色素との相互作用を調べた.その結果,光応答性タンパク質は,一般的なジアリールエテン誘導体と同様のフォトクロミズムを示し,それに応じて,光応答基導入位置近傍のタンパク質の立体構造変化が誘起され,基質および阻害剤との親和性が大きく変調できることがわかった.また,色素分子との相互作用について,蛍光消光反応の速度定数はフォトクロミズムによって変化しないこと,光応答基部分が閉環体の場合には分子内エネルギー移動反応が競争すること,リゾチーム阻害剤存在下では,阻害剤がない場合とは逆に閉環体の方が色素との相互作用が大きいことがわかった.
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