2011 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック分子導入による光機能性タンパク質の開発と機能メカニズムの解明
Project/Area Number |
21550049
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲田 妙子 北里大学, 理学部, 講師 (60286375)
|
Keywords | 可逆的光制御 / ニワトリ卵白リゾチーム |
Research Abstract |
本研究では,フォトクロミズムと酵素タンパク質の特質を活かした光機能性材料の開発を目指している.モデル化合物として,タンパク質の立体構造と酵素反応のメカニズムが解明されている酵素タンパク質のひとつであるニワトリ卵白リゾチーム(EC.3.2.1.17),および,卵白リゾチームとの相互作用が着目されている機能性ペプチドのひとつである卵白アルブミン由来の酵素分解ペプチドを用いた.酵素タンパク質に導入するフォトクロミック部位には,代表的なフォトクロミック分子の一つであるジアリールエテン誘導体を選んだ.まず,昨年度の研究で得られた結果をもとに,ターゲットタンパク質にジアリールエテン誘導体を位置選択的に導入するさいの反応条件を再検討した.その結果,活性中心近傍のリジン残基,および,アスパラギン酸残基に位置選択的に導入した光応答性リゾチームを高収率で得ることができた.つぎに,これらの光応答性リゾチームについて,光応答基部分のフォトクロミズムに伴う立体構造変化,酵素活性,光物理学的特性を調べた.その結果,ジアリールエテン部位のフォトクロミズム応じて,光応答基導入位置近傍の局所的なタンパク質の立体構造変化が誘起され,基質親和性が大きく変調できることがわかった.また,機能性ペプチドとの相互作用についても,フォトクロミズムに応じて可逆的な光制御を行うことができた.さらに,その相互作用を利用して,機能性ペプチドに導入した芳香族化合物の蛍光消光反応の反応収量がフォトクロミズムにより変調できることがわかった.
|