2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝情報の制御を目指した複合化金属錯体の合成と機能評価
Project/Area Number |
21550070
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
千喜良 誠 中央大学, 理工学部, 教授 (70006328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 裕介 中央大学, 理工学部, 助教 (80433019)
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Keywords | DNA / 複合化金属錯体 / 二核錯体 / カチオン性シッフ塩基錯体 / フェナントロリン / DNAコンジュゲート |
Research Abstract |
本年度も前年度に引き続き,(1)カチオン性シッフ塩基複核金属錯体、(2)フェナントロリンなどの複素芳香環アミン誘導体をインターカレータとする複合金属錯体,(3)機能性錯体修飾DNAコンジュゲートが形成する二本鎖の構造解析,について研究を進めてきた.(1)については新たにカチオン側鎖部位をトリエチルアミン側鎖に変えた種々の複核銅(II)錯体を合成し,疎水性の増加と側鎖の嵩高さがDNAとの相互作用にどのような影響を及ぼすかを検討した.結果として結合親和性,酸化的切断活性ともにトリメチル側鎖置換体に比べて低下した.現在,疎水性の増加が細胞毒性にどのような影響を与えるかを検討している.(2)については,フェナントロリンやビピリジンとアミノ酸シッフ塩基Cr(III)およびVO(II)混合配位子錯体について,より強いインターカレータとなる複素芳香環アミンを用いた錯体を合成しDNAとの結合構造,結合親和性,および光切断活性の解析を行った.Cr(III)錯体は,DNA上での配向性が向上し,酸化的切断活性や光切断活性が増加した.VO(II)混合配位子錯体についてもDNA上での配向性がみられ,現在,酸化的切断活性や光切断活性の評価を試みている.また,本年度はあらたにフェナントロリンをアミド結合で結んだ新規銅(II)二核錯体を合成しDNAの酸化的切断活性の評価を行い,フェナントロリン単核錯体に比べて2本鎖切断の活性が著しく向上することを見出した.(3)については発光性希土類金属錯体を鋳型特異的に形成するDNAプローブおよび鋳型特異的にルテニウム-白金二核錯体を脱離するDNAプローブの合成を試みた.いずれもプロテインスプライシング反応を利用した感度の向上を目指したものであるが,現在ジペプチドリンカーの保護基をはずす最終の段階まで到達している.
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