2009 Fiscal Year Annual Research Report
供与型白金-金属結合を有する新規クラスター錯体の合成とその機能
Project/Area Number |
21550072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 正 Waseda University, 理工学術院, 教授 (40230362)
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Keywords | 金属錯体化学 / クラスター錯体 / 供与型金属-金属間結合 / 白金-金結合 |
Research Abstract |
本研究では,白金II価錯体がそのaxial方向で他の金属イオンに配位した錯体の合成を目指すとともにその機能、特に発光特性について調べるものである。本年は特にアクセプターを金(I)とした錯体の合成を行った。ドナーの白金錯体として[Pt(thpy)2]および[Pt(dbbp)(tmen))(Hthpy=thienylpyridine, H2dbbp=di-t-butylbiphenyl, tmen=tetramethylethylenediamine)を用い,アクセプターを[Au(PPh3)(PF6)]として白金-金複核錯体を合成した。いずれも白金イオンが配位子として金イオンに配位した構造をとっており、Pt周りはAuを含めて五配位でありPt(III)-Au(0)の共有結合型でないことを示している。Pt-Au距離はそれぞれ2.575Å、2.647Åであり、供与結合型の金属-金属間結合としては非常に短いものであった。溶液中での結合形成を調べるために、当量比を変化させ電子スペクトルを測定し平衡定数を求めた。前者の錯体では平衡定数が3×10^M-1であったが、後者の錯体では1×10^5M-1と非常に大きな値を示した。また同様に結合の様子を調べる目的で195Pt-NMR測定を行った。前者の錯体は低温でのみPとのカップリング示すダブレットのピークが観測されたのに対して、後者の錯体は室温でも同様なピークが観測された。また、いずれの錯体のカップリング定数J(Pt-P)は約1000Hzであり、結合二つ隔てたカップリング定数としては大きな値であり、ここでも強い供与型白金-金結合の存在を示唆していた。これらの錯体について発光測定を行ったところいずれも原料の白金錯体と比べて長波長シフトおよびブロード化したスペクトルが得られたが残念ながら強度は減少していた。
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Research Products
(1 results)