2011 Fiscal Year Annual Research Report
供与型白金-金属結合を有する新規クラスター錯体の合成とその機能
Project/Area Number |
21550072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 正 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40230362)
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Keywords | 金属錯体化学 / クラスター錯体 / 供与型金属-金属間結合 / 白金-金結合 |
Research Abstract |
昨年度2当量の[Pt(Me)2(bpy)]と1当量のHgCl2を反応させ、共有結合型の金属-金属結合2個を有する三核錯体{Pt(Me)2(bpy)Cl}-{Hg}-{Pt(Me)2(bpy)Cl]}(1)およびその異性体である共有結合型の金属-金属結合と供与結合型の金属-金属結合を1個ずつ持つ三核錯体{Pt(Me)2(bpy)}→{HgCl}-{[Pt(Me)2(bpy)Cl]}(2)を合成した。これらの異性体は溶液中で異性化し平衡となるが,低温のCDCl3溶液中においては195Pt-NMRが一種類のピークしか示さないことから、共有結合型の三核錯体のみが存在していると予想された。しかし異性化が速い場合も同様なスペクトルとなることから確定はできなかった.今回ClをCl/Brr混合配位子にして測定したところ3種類の化学種が観測されたことから共有結合型の三核錯体として存在して存在していることが明らかにされた。また、非対称の三核錯体から白金間の結合定数J(Pt-Pt)が約6150Hzと求められた。ごの値は通常の直接結合を持つ複核錯体のIJ(Pt-Pt)と比較しても大きな値でありPt-Hg-Pt間に非常に強い結合があることを示している。また、白金ドナーとして[Pt(dbbp)(dbbpy)](H2dbbp=di-t-butylbiphenyl,dbbpy=di-t-butyl bipyridine)を用い同様な三核錯体を合成したところ。低温溶液中で共有結合型の三核錯体として存在しており、しかも二種類の化学種が存在していることが観測された。これは白金周りがビスキレート型となるため、二つの白金周りの立体配置の違いによるジアステレオマーが存在することによるものと考えられた。
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