2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550162
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 晃 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (50109857)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 弘一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00227787)
|
Keywords | S1-1 / RBM10 / スプライシング制御 / 転写制御 / アポトーシス関連遺伝子 / がん危険遺伝子 / 核移行配列 / S1-1 nuclear body targeting sequence |
Research Abstract |
H22年度では、S1-1がおこなう選択的スプライシング反応の網羅的解析を課題の1つとしていた。すなわちS1-1ノックダウン細胞とS1-1発現誘導細胞の2者におけるスプライシングの違いをRNA-Seqを用いて解析し、これによりS1-1が標的とする遺伝子産物RNAsの網羅的同定とS1-1が関わる選択的スプライシングの全体像を把握することである。 計画ではS1-1発現誘導細胞としてdoxycyclinがS1-1を誘導されるHeLa Tet-On細胞を用いる事とし、この新たな細胞株樹立の為に3ケ月が必要となり研究期間を延ばし、合わせてH22年度経費の一部を繰越しとした。成果:新たな細胞株を樹立した。しかしこの樹立細胞は初期の目的には使えないことが判った。すなわち、予想に反して、doxycyclinでS1-1発現を誘導すると細胞死がつよく起こる結果となった。 細胞死にあずかるFasの発現では、S1-1はFasの転写体RNAに選択的スプライシングを起こし細胞死抑制性のFasアイソフォームを産生させる(H21年度の結果)。これはS1-1が細胞死を抑制することを示す。しかし今回はS1-1が細胞死へ導く結果となった。S1-1がFLIPの選択的スプライシングに作用して細胞死を導くFLIPアイソフォームにする以前の結果にこれは合うものである。FasとFLIPの相反する成績の真の意味が、細胞はどちらの経路を選択・優先するかと言った機序として理解されるべきことが考えられる。予想に反しながらも重要な可能性を示唆する成績となった。 本来の研究目標を達成する為に、今後は(非改変の)正常細胞とS1-1をノックダウンした細胞を用い、これら2者におけるスプライシングの違いを解析し、これによりS1-1の標的遺伝子産物の網羅的同定とS1-1が関わる選択的スプライシングの全体像を把握することとしている。
|
Research Products
(2 results)