2011 Fiscal Year Annual Research Report
その場X線回折によるシリコン基板上へテロエピタキシャル成長の観測と制御
Project/Area Number |
21560007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
花田 貴 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80211481)
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Keywords | X線回折 / 鉄シリサイド / 薄膜 / 構造転移 / エピタキシャル |
Research Abstract |
Si(111)上にFeを蒸着し半導体β-FeSi2の成長をSPring8-BL13XUにて、その場X線回折で観測した。Si(111)上ではSi(001)上と異なり、成長初期に金属相であるα-FeSi2の形成は観測されなかった。従ってSi(111)上ではより広い温度範囲でβ-FeSi2が単相で形成された。β-FeSi2(110)または(101)面がSi(111)上に成長した。斜方晶β-FeSi2の単位格子は立方晶CaF2構造の単位格子4個分がヤーン・テラー歪で安定化したもので、β-FeSi2(110)と(101)面は基になるCaF2構造の(111)面に相当する。このためSi(111)上でβ-FeSi2が形成されやすいと考えられる。X線回折では主にβ-FeSi2の040と004反射を測定し、β-FeSi2の膜厚増加に伴う回折ピーク幅の減少と格子定数変化の過程を観察した。β-FeSi2の単相薄膜成長は、Si(111)基板のほうがSi(001)基板より容易であることを確認できた。さらに、Geドット自己形成過程をX線回折で実時間測定した。Si基板上にGe濡れ層とドットが成長した場合について、歪分布を有限要素法で計算した。ドットの頂上付近ではほぼGe本来の格子定数まで歪が緩和する。等歪面は基板面にほぼ平行になっており、ほぼ一定の高さ付近に分布している。ドットが基板表面に疎に分布している場合、全反射臨界角以下で入射したX線を用いると、ドット内のX線強度分布は入射波と濡れ層/基板表面で全反射された波とのつくる定在波の強度分布で近似できる。入射波と全反射波が基板表面の真空側に作る定在波強度の視射角α依存性が基板表面からの高さによって変化することを利用して、ドット内の等格子間隔面高さ分布を追跡するため、X線入射角依存性の測定を行った。結果は定在波の効果で説明できることを確認した。
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Research Products
(1 results)