2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560077
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加藤 寛 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (80107375)
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / 品質管理システム / ボルト締結 / 疲労損傷 / 非破壊検査 / 超音波測定 / Al合金 / 表面弾性波 |
Research Abstract |
ボルト締結した部材が繰り返しの負荷を受ける際にボルト穴近傍で発生・伝播する疲労き裂を非破壊的に検出する手法の開発を目的としている.そこで,アルミニウム合金(A2024-T3)平板より製作したボルト締結試験片について疲労試験を行うとともに,所定の疲労繰り返し回数ごとに試験機を停止し,表面弾性波(SAW)を用いた超音波測定を行った.また,荷重サイクルに同期させた超音波測定についても実施した.その結果,以下の成果を得た. 1.ボルト締結力によって,疲労き裂の発生機構及び疲労寿命と締結力の関係が異なる.すなわち,ボルト締結力が小さい場合,疲労寿命は締結力の増大に従って増加していき,またボルト穴縁から疲労き裂が発生・伝播する(機械的疲労損傷).ボルト締結力が中程度になると,疲労寿命は締結力の増大に従って増加傾向を示すが,疲労き裂はボルト穴近傍に発生するようになる(フレッティング磨耗損傷).更に締結力が大きくなると,疲労寿命は締結力の増大に従って低下していき,また疲労き裂はボルト穴近傍に発生する(フレッティング疲労損傷). 2.SAW測定により,ボルト穴近傍に発生する疲労き裂はその初期段階から検出された.また,疲労き裂長さの増大に従って疲労き裂からの反射波強さが一様に増大していき,SAW反射波強さより疲労き裂長さが定量的に評価可能であることを示した. 3.同期測定において,疲労サイクル中の応力変化に対応してき裂からのSAW反射波強さは周期的に変化した.この結果は,反射波強さが疲労サイクル中の疲労き裂の開閉口と関係することを示唆する.
|