Research Abstract |
本研究は,液体と液体,あるいは液体と粉体の混合・攪拌工程の効率化をはかるため,攪拌槽内で往復運動する攪拌フィンを利用した振動型混合装置の開発を行うことを目的とする.本研究で使用する攪拌フィンは,磁気反発力により攪拌槽内で浮上し,外部からの周期変動する磁場を励振源として往復運動を行うものである.本年度の研究では,混合装置の実用化を実現するため,磁気浮上攪拌フィンの励振方法として,攪拌槽外に設置した永久磁石の周期運動を利用する簡単な機構へと改良した.また,攪拌フィンの磁気浮上機構も改良を加え,実際に混合装置を試作し基礎実験を実施した.実験では,非線形共振を利用して,水中の攪拌フィンを大振幅で振動させることが可能となった.さらに,昨年度の研究に引き続いて,液体中で振動する攪拌フィンの減衰能を把握するため,位相法による減衰能同定実験を実施した.この結果,液中で振動する攪拌フィンの減衰能と攪拌フィンの振動数の関係を明らかにすることができた.また,本研究で採用している振動型混合装置における振動フィンによる攪拌メカニズムを明らかにするため粒子法(SPH法)の計算理論に基づくプログラムを開発した.また,開発途中であるが,攪拌槽内で振動するフィンによるフィン周辺流体の運動の数値シミュレーションを実施することができた.今後このプログラムを使用することにより,本振動型混合装置の振動フィンによる攪拌メカニズムを解明する見通しを得ることができた.さらに,本研究で試作した混合装置は,外部励振用磁石の駆動機構にスライダークランク機構を採用している.この駆動機構の不つり合い慣性力に起因した有害な振動に対する対策として,前年度試作した振動低減装置の改良を行った.この振動低減装置の開発により振動式混合装置の振動低減でき,次年度の研究では高振動域での攪拌装置の運転が可能となった.
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