| Research Abstract |
研究の最初の年度である本年度は,次年度以降の研究の基盤を作ることを念頭に,以下の3つの研究を行なった:1.関数変数を持つロバスト半正定値計画問題の厳密性検証法,2.ロバスト最適化に基づく非周期的サンプル値制御,3.クレーンの模型を使ったロバスト最適化法の検証実験.
「1」では,前年度で終了した基盤研究(C)「非線形構造を考慮したロバスト最適化法とその非線形制御への応用」で開発した,関数変数を持つロバスト半正定値計画問題の解法について,厳密性検証法を開発した.この解法は近似解法であるが,実際に適用すると厳密に近い結果を与えることが多い.得られた結果が厳密であることを保証する方法を最適化問題の双対性に基づいて開発した.
「2」では,ロバスト最適化の新しい制御応用として,非周期的サンプル値制御を考えた.ネットワークを介した制御や組込み制御では,サンプル周期を一定と仮定することができず,その解析や設計は困難である.本研究では,この問題を非多項式的な不確かさを持つロバスト最適化問題に定式化し,適応的分割によって近似精度を高める方法を開発した.
「3」では,ロバスト最適化法の実用性を検証するため,クレーンの制御への適用を行ない,模型を使った実機実験を行なった.ロバスト最適化は,実用的な問題に適用すると計算量が大きくなってしまうことが知られている.本研究においても,2乗和多項式の次数をうまく選んで計算量と近似精度のトレードオフをとることが本質的に重要であった.結果としては,実用的な範囲の計算量で厳密に近い結果が得られ,実機実験にも成功した.
|
