2010 Fiscal Year Annual Research Report
砂の粒子沈降による供試体密度不均一を生じさせない真の液状化試験
Project/Area Number |
21560523
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉嶺 充俊 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (80251338)
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Keywords | 砂 / 液状化 / 透水 / 土質力学 / 地盤工学 |
Research Abstract |
本研究は、三軸試験機による砂の液状化試験の際に、供試体に上向き浸透流を作用させることによって粒子沈降を防ぎ、密度が均一な条件のもとでの試験の実施を目指している。この実験で重要な点は浸透流を作用させる際に供試体下部からの供給と供試体上部から流出させる浸透水量を正確に同量として供試体の体積変化をゼロとすることである。この目的のためにピストン式の透水発生装置を作成してきた。透水発生装置内にわずかでも気泡が存在すると空気の圧縮・膨張のために供試体の体積変化を生じてしまうので、残存空気を除去する手法の開発および装置の性能を確認するための試験を実施した。また、透水発生装置の容量も含む間隙水の体積が大きいために、気泡の体積変化のみならず間隙水そのものの圧力変化による体積変化が無視できない誤差要因となることがわかったので、透水発生装置に関する円筒容器の弾性変形理論および過剰間隙水圧係数の実測に基づいて、ピストン内外圧差を適切にコントロールすることにより、間隙水の体積変化をキャンセルして、供試体の等体積条件を正確に保つための手法を考案した。さらに、供試体に所定の浸透流量を供給しようとすると、当初に設計・製作した試験装置では間隙水を透水発生装置から供試体に送水するための配管が細すぎて配管内の動水勾配が非常に大きく、装置の駆動力およびピストン上下間の圧力差が大きくなり正確な制御が困難なことが判明した。これを解決するために配管やバルブ類をすべて大口径のものに取り替えるなどの大規模な装置の改良が必要となった。これらの試験装置および試験方法の改良のため、砂の供試体の粒子沈降が液状化強度特性に与える影響を調べるための本格的な実験には着手しておらず、その点では研究計画がやや遅れ気味ではあるが、ほぼ所定の性能を有する試験装置を構築することができた。
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