2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560544
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
柿沼 太郎 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 准教授 (70371755)
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Keywords | 津波 / 九州沿岸 / 南西諸島 / 分散性 / 南海地震 / 日向灘地震 / 地すべり / 山体崩壊 |
Research Abstract |
鹿児島県の九州本土、並びに、屋久島及び種子島における、海岸施設の現状調査を実施し、沿岸防災施設の現況を踏査した。他方、変分原理により導出した波動方程式系に基づく数値モデルを平面方向に拡張し、1946年南海地震と、1968年及び1970年日向灘地震に対する断層パラメタを用いた津波の伝播解析を行なった。その結果、一部の島嶼近傍において津波が増幅される可能性のあることが確認された。また、九州南部沿岸域における津波の特性として、これら三者の数値シミュレーションにより、津波が九州東岸全域を襲うこと、反射波が大陸棚上でトラップされて南下すること、また、大隅半島からの反射波は、錦江湾内部に入射せず、種子島方面に向かいやすいこと、そして、水深が周囲より浅い宮崎沖で津波が比較的大きくなること等が得られた。更に、本年度においても、津波の基礎特性に関しての研究を継続して行なった。すなわち、変分原理により導出した表面波・内部波方程式系は、鉛直積分型の方程式系であり、その導出の際に、速度ポテンシャルの鉛直形状を仮定する。従って、仮定において速度ポテンシャルの鉛直形状や密度成層の条件を様々に設定し、津波の生成や伝播に対する流速分布及び密度成層の影響を詳細に調べることが可能である。ここでは、津波が比較的遠距離を伝播する際の、分散効果に対する流速分布形の影響と、津波の高さに対する海域における密度成層の影響を調べた。また、様々な形態の地変に伴う水面変動に関して、本研究で製作・開発した水槽及び計測機器を用いた水理実験と、購入した計算機による数値解析の結果を比較した。更に、研究当初に適用予定であったVOF法よりも水面の大変形計算に適していると考えられるMPS法を適用し、地滑りに伴う津波生成の数値シミュレーションを行なった。本研究では、桜島の山体崩壊を想定し、それに伴い錦江湾内に発生する津波の数値解析も実施した。
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Research Products
(7 results)