2010 Fiscal Year Annual Research Report
有明海異変透明度増加の生化学的原因解明に関する研究
Project/Area Number |
21560572
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原田 浩幸 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (20222234)
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Keywords | 細胞外ポリマー / 干潟底泥粒子 / レオロジー特性 / 吸着 / ウロン酸 / COD |
Research Abstract |
細胞外ポリマー(EPS)と言われていて,生物膜が干潟表面を覆っている場合には,干潟泥粒子に吸着して干潟の安定性に寄与することが報告されている.本研究では生物膜自体ではなく環境悪化が懸念されている有明海干潟底泥から水溶性EPSを抽出し干潟底泥への吸着の確認、その影響について検討した.EPSの添加がないコントロールサンプルでは逆にCODが増加したが,添加系では前後で値が低下して吸着が確認できた.添加系での撹拌前を考えると,人工海水のほうが溶解性CODの値が低い.このことは,すでに最初の撹拌時点においてEPSの吸着が起きていることを示す.例としてEPSを0.5mL添加して測定したレオロジー特性では速度の増加から減少にともなう操作で示す応力が異なってわずかにヒステリスを示す.ずり速度の低いところは実際には測れていないが,外挿すると原点を通るのでほぼニュートン流体であることがわかる.吸着量は違いがあるが応力の変化は,EPS添加直後には蒸留水・海水の違いによらず類似の応力値を示す.45分撹拌後は蒸留水では応力の変化が少ないが人工海水混合では応力が増加している.これは底泥に付着したEPSが撹拌により海水中のカチオン成そのことを確認するために顕微鏡写真で確認し粒度分布を測定した.蒸留水懸濁液のときには見慣れた底泥粒子が,人工海水懸濁液ではより凝集状態となっていて,状態が変わっていることが確認できた,平均粒子50%の径は蒸留水懸濁液が20gm,人工海水懸濁液で25gmであり,1.3倍近く粒子径が増加したことがわかる。これらの変化の原因は人工海水懸濁液のみに大きな変化があったことからEPSがまず底泥に吸着しそのウロン酸のような酸性糖と人工海水中のカチオン成分が架橋してネットワークをつくり粒子径を大きくしたと考えられる.そこで,EPSの成分を測定したところ2種類ウロン酸が検出されたので,この成分が影響しているものと思われた.
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