2011 Fiscal Year Annual Research Report
有明海異変透明度増加の生化学的原因解明に関する研究
Project/Area Number |
21560572
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
原田 浩幸 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (20222234)
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Keywords | EPS / 干潟底泥粒子 / レオロジー / 吸着 |
Research Abstract |
生物膜が細胞外に分泌する高分子多糖類様物質は細胞外ポリマー(EPS)と言われていて,生物膜が干潟表面を覆っている場合には,EPSが干潟底泥に吸着して干潟の洗堀が起こりにくくなり安定に寄与することが報告されている1). 有明海の環境悪化の一つとして透明度の増加があげられている2)。本研究では,上記の類推から,いろいろ検討されている原因の一つに底泥付着藻類のEPSが影響している可能性,つまり底泥が巻き上がりにくい性状になって,EPSがその性状変化に関係していること考えた.想定メカニズムについてはつぎのように考えている. 有明海底泥は粒度の小さい粘土質なので潮流や潮汐によって巻き上げられる底泥が多く,透明度が低い状態であった.環境の変化により増粘性有機物であるEPSが懸濁物質に付着する量が多くなり,懸濁物質が凝集して,巻き上げられる底泥が減少する.その結果,透明度3)が上昇し,赤潮の原因となる藻類が発生しやすくなった, そこで有明海底泥から水溶性EPSを抽出し,有機物を除去した底泥への吸着特性を検討することで,その可能性の評価をおこなった. 本研究では干潟底泥から抽出した高分子様多糖類が,人工海水中で底泥に吸着し時間とともにカチオンの影響によりネットワークを形成して,粒径が大きくなることがわかった。
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