2010 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的町並みにおける災害弱者の自助・共助に向けた減災支援システムの構築
Project/Area Number |
21560641
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
三島 伸雄 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (60281200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 慶子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (00128977)
甲斐 今日子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (10194656)
渡辺 訓甫 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (10037955)
田口 陽子 佐賀大学, 工学系研究科, 助教 (10435448)
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Keywords | 歴史的町並み / 延焼危険度 / 避難危険度 / 水害避難経路 / 災害弱者 |
Research Abstract |
本研究は、災害弱者の自助・共助による減災対策の確立に向けて、歴史的町並みにおける減災支援システムのあり方とその適用の可能性を明らかにすることを目的としている。特に本研究では、歴史的町並みは防火対策が一般市街地に比べると弱いため、まずは火災に焦点を当てる。 本年度は、伝統的建造物群保存地区「浜庄津町浜金屋町地区」を対象地として、火災時における自助・共助・公助がうまく機能するような支援システムを構築する上での基本的判断材料を得るために、大きく以下の2つのことを行った。 (1)自助による避難経路の調査:被災者となる人たちがどのように避難経路を考えているか、その実態は明らかになっていない。そこで、対象地の住民全70世帯に対してヒアリングを行い、2方向以上の避難経路の実態とその課題について調査・分析を行った。その結果、1方向は概ね確保できるが、2方向目以上については、通常では考えられない経路しかないことなどが分かった。その改善策についても検討を行った。 (2)共助・公助における避難経路の調査:共助者(被災者周辺の住民)や公助者(消防団員等)は、避難に対して被災者とは異なる考え方を持っていると考えられる。そこで、(1)と同様に、共助者および公助者になると考えられる人たちに避難経路に関するヒアリングを行い、その課題に関する分析を行った。(1)と合わせて、今後の対策について検討を行った。 (3)延焼抑止策の検討・提案とその予測評価:対象地は茅葺き町家と桟瓦葺き町家が軒を連ねるところに特徴がある。それらの歴史的建造物があることによってどのように延焼が広がるのか、重伝建地区選定後の防火対策(スプリンクラーの設置)などによってどのように効果があるのかなどは十分に分かっていないことが多い。そこで、東京消防庁の延焼速度式を地区の特質を考慮に入れて改善し、延焼抑止策の検討・提案およびその予測評価を行った。
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