2009 Fiscal Year Annual Research Report
マラッカ・ジョージタウン世界遺産のボトムアップ保存手法構築のための調査研究
Project/Area Number |
21560657
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
張 漢賢 Tottori University of Environmental Studies, 環境情報学部, 准教授 (80341064)
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Keywords | 都市・地域計画 / 計画論 / 行政・制度 / 景観・環境計画 / マレーシア / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
マレーシアのマラッカ・ジョージタウンは、2008年に世界文化遺産として登録された。政府や地方自治体はその保存手法を模索している段階にある。長年にわたりBWM、PHTなどの民間団体やNGOまたは個人で行ってきた建築保存運動、ガイドライン検討、研究活動の成果があるにもかかわらず、世界遺産登録後、政府の施策は保存理念を十分に反映し機能していると言えず、民間団体の誘導・是正・監視・補完諸役割を効果的に発揮できる土壌ができていると言い難い。世界遺産登録のインパクトを受けながら、東西文化の交流、多民族共存の歴史が重層的に刻印されているマラッカ・ジョージタウンの建築と市街地と、生きている多民族社会の伝統生活文化を守っていくために、新しい都市保存システムの構築が緊急課題になっている。本研究では、既存システムの長短所の整理、人材組織の把握・活用検討、遺産管理の仕組みに関する情報交換を行い、現地の民間団体、諮問組織、自治体に対し基礎的な情報を収集し、日本の文化遺産管理、観光地管理、文化財保存諸経験を生かし助言する。21年度の調査では、ジョージタウン世界遺産の管理に携わっている民間団体CHAT、arts-EDのメンバー、世界遺産管理局担当者、マラッカの保存活動にかかわっている活動家から、保存活動の実態、保存システムの問題点についてヒアリングを行った。また、住民、経営者、開発業者に対し、世界遺産への思いや認識について確認を試みた。世界遺産の管理・観光活用のあり方について、民間団体と九州大学西山徳明教授との意見交換会を行った。世界遺産管理局の行政的位置付け、民間団体の活動から、ジョージタウンは今まで困難とされている「生きている伝統生活文化の継承」を民間の力で、教育活動・建築保存・歴史研究・情報発信を通してその実現を試みている。マラッカはトップダウン的性格が強く、保存理念の共有をはじめ緊急課題が多い。
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