2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21560678
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
藤田 盟児 広島国際大学, 工学部, 教授 (20249973)
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Keywords | 中世民家 / 町家 / 政所 / 宮島 / 明王院 / 放射性炭素分析 |
Research Abstract |
今年度は、中世の上層民家に関連する建築遺構として、滋賀県にある葛川明王院(延暦寺所轄)の政所の調査と、オウエをもつ町家の事例として広島県廿日市市の宮島にある町家の調査を行った。葛川明王院の政所は、中世の庄園を管理する政所遺構のうち、現存する貴重な事例であり、その内容と建造年代を調査した。調査には、滋賀県の古建築調査の経験が豊富な村田信夫氏に委託して図面作成、痕跡調査を行い、建造年代を示す史料を捜した。その結果、元禄時代の建物であることが判明し、政所の特徴がいくつか判明した。政所は、中世の上層民家と極めて親近性が高い建造物なので、中世の上層民家を推測する上で貴重な所見を得た。つぎに宮島の町家については、飯田家作業所と田中家住宅の2棟について、部材から計10点の資料を採取し、その放射性炭素量をパレオ・ラボに分析してもらった。その測定結果から各建物の部材伐採年代は一七世紀後半の可能性が高いことが判明した。それをもとにして宮島の他の町家の編年を見直したところ、一七世紀の町家が他にもあることや、一六世紀に遡る可能性がある遺構が一棟あることが判明したので、宮島の町家遺構群から中世における町家の形成過程を推測することが可能である見込みを得ることができた。今年度は委託調査が2件あり、放射性炭素分析の費用が高額であることから、研究の進行は以上にとどまったが、この結果をもとに来年度は中世後期の上層民家史を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)