2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマー/気相成長炭素繊維系ナノコンポジット融液の粘弾性計算技術構築と応用
Project/Area Number |
21560777
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田上 秀一 福井大学, 工学研究科, 准教授 (40274500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家元 良幸 福井大学, 工学研究科, 教授 (60020244)
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Keywords | 気相成長炭素繊維 / ポリエチレン / 粘弾性流動解析 / フラットヤーン / 熱伝導 / ダイスウェル |
Research Abstract |
本年度は,前年度で検討した高密度ポリエチレン(HDPE)を母剤とした気相成長炭素繊維(VGCF)との複合体のフラットヤーン成形プロセスに着目し,ナノコンポジット溶融体を用いたダイスウェル問題を含む押出成形プロセス設計に対する粘弾性流動シミュレーションの有用性を検討した。得られた結果を以下にまとめる。(1)流路の縮小角が異なる二種類のダイを想定してナノコンポジット複合体融液のフラットヤーン押出の三次元シミュレーションを実施した。流路の縮小角が小さいとダイ出口直後のスウェル現象は大きくなるが,延伸した後のフラットヤーンの断面形状はほとんど同じになること,ダイ内を通過する流体に作用するトータルの伸長ひずみは流路の縮小角が小さい場合が大きくなること,などが明らかになった。(2)(1)で計算した流路形状を有するダイを用いてフラットヤーンの押出成形実験を行った。冷却時の収縮を考慮して,高々10%以下の範囲内で計算結果の断面形状と近い寸法の押出物が得られた。 また,得られたフラットヤーンの引張強度と熱伝導性を測定すると,引張強度は縮小角が大きい場合が大きくなり,局所の伸長速度が寄与することが示唆された。一方,熱伝導性は縮小角の小さい場合で大きくなり,ダイ内におけるトータルの伸長ひずみが寄与することが示唆された。(3)以上の研究成果より,伸長粘度特性を独立に変化できるPTTモデルのような粘弾性モデルを用いることで,ポリマー/気相成長炭素繊維系ナノコンポジットの成形加工プロセスの検討に対して有用な粘弾性流動シミュレーションを実施できることが示された。また,少なくとも成形時の樹脂の流れを検討することで,ポリマー/繊維状ナノフィラー系複合材料の成形品の物性を向上できる可能性が示唆された。
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Research Products
(19 results)