Research Abstract |
(1)クロルベンゼンを炭素源とし,照射超音波の周波数を36.6,100および480kHzに絞って,無機金属化合物触媒の有無など反応条件を種々に変え,得られる黒色物質量を比較した。その結果,照射する超音波強度が強いほど黒色物質が多く生成するとは限らないことが明らかとなった。超音波強度が強すぎると低分子量炭素化合物に分解されるためと考えられた。 (2)種々の反応条件下に生成する黒色物質をTEM-SEMにより比較検討した結果,針状あるいはロッド状の物質,グラフェン様プレート状あるいはチューブ状の物質,黒色塊状の物質を,ある程度の再現性をもって,液相内で作ることができるようになった。元素分析の結果,いずれも無機物質を含まないことを確認した。 (3)上記3種の,針状あるいはロッド状物質,グラフェン様プレート状あるいはチューブ状物質,黒色塊状物質の生成割合を時間とともに追跡したところ,必ずしも互いに変換されるような関係にはないことが明らかになった。 (4)まだ,これらの分離は完全には可能になっていないが,分離の見込みはできてきており,分離できしだい,特に,グラフェン様プレート状物質の同定をラマンスペクトルなどの手法を用いて行う予定にしている。 以上のような,照射超音波による炭素物質生成における周波数効果および強度効果に関する知見は,炭素ナノマテリアルの液相系超音波合成法の開発とってキーとなる情報であり,形状・組成の異なる炭素マテリアルを作り分ける開発研究の基盤となる情報を得たと考えている。
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