2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵素展示バキュロウイルスの細胞結合能を指標とする新規ウイルスタイター測定法の開発
Project/Area Number |
21560805
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菊地 賢一 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 教授 (80108919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 猛 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 教授 (10215494)
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Keywords | ウイルス / バイオテクノロジー / 昆虫細胞 / バキュロウイルス / 酵素反応 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
組換えタンパク質生産などにおいてバキュロウイルスを遺伝子導入ベクターとして利用するためには,ウイルスタイターを正確に求める必要がある。一般に,ウイルスタイターは段階希釈した溶液中のウイルスの有無を共存させる細胞の感染を指標として求められるが,これまでの測定方法は簡便性や迅速性,コストの点で大きな問題がある。本研究では,細胞表面のウイルス結合レセプターがウイルス感染によって急激に減少することに着目し,バキュロウイルスの新規なタイター測定法を開発することを目的としたものである。 このレセプターの検出に利用できる酵素展示バキュロウイルスを新たに構築することを目指し,酵素グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)および酵素の代わりに緑色蛍光タンパク質(GFP)をGP64を介してバキュロウイルスのエンベロープ表面に展示させるため,2種類のシャトルベクターを構築した。しかし,これらをSf9昆虫細胞にトランスフェクションして得られた組換えバキュロウイルスの収量は極めて低く,GSTおよびGFPの多くは加水分解され易いことが分かった。 そこで,新規なタイター測定として,バキュロウイルス全粒子数をReal-timePCRによって求め,さらに,この中から不活性化ウイルスを区別して活性ウイルスの粒子数のみを求める方法を新たに検討した。 バキュロウイルスGP64の遺伝子をReal-timePCRで定量するためのDNAプローブとプライマーを設計し,さらにこの増幅領域のcDNAを有して濃度標準となるプラスミドを作成した。一方,Sf9昆虫細胞表面のウイルス結合レセプターに活性ウイルスを吸着させることによる不活性化ウイルスとの分離を試み,Real-timePCRによるウイルスタイター測定の可能性を探った。その結果,ウイルスをSf9細胞に28℃で3時間接触させることにより,その分離は可能であることが分かった。さらに設計したプライマーと特異的プローブを利用したReal-timePCRによってウイルス粒子を定量できることが示唆された。
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