2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハフニウム水素化物の相転移を利用した同位体分離法の開発
Project/Area Number |
21560872
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
有田 裕二 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (50262879)
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Keywords | 同位体分離 / 水素 / 重水素 / ハフニウム |
Research Abstract |
1.ハフニウムによる水素同位体性能の評価 形状による分離性能の比較では、板状のものが最も水素級脱着性能がよかった。粉末の場合、高温において、雰囲気中の微量酸素によって速やかに酸化され水素吸蔵が阻害される。また、バルクでは水素の拡散速度に依存して吸・脱着に時間がかかるため水素の分離性がよくなかった。以上のことから、比表面積が比較的大きく、表面酸化も少ない薄板が最も分離性能がよい結果となった。 薄板における水素同位体分離実験では、800K程度で水素及び重水素を吸蔵させたハフニウムを真空中で加熱すると、900K以上の高温で水素の放出が始まることがわかった。その際、放出されるガスは、水素と重水素が結合したHDの分子状態のものが最も多く、最もガス放出が盛んな1250K付近で、約50%であり、H_2及びD_2がそれぞれ約1/4を占めることがわかった。当初期待した、400K付近ではガスの放出はなく同位体分離には向かないこともわかった。一方で、ハフニウム以外の物質の探索においては、ハフニウムのように400K付近で水素吸蔵による相変態を起こすものは見つからなかった。 2.分離装置の概念設計 以上の結果から、水素同位体分離装置としてハフニウムを使用する際には、700から800Kでの水素吸蔵及び900から1000Kでの水素放出によって、ガス中の重水素濃度を高めることが可能であり、重水素を濃縮する際のプレ濃縮材として利用できると考えられる。ガスタービン廃熱や核融合炉外壁等の高温廃熱が発生する場所での使用が想定される。 以上、ハフニウムによって、水素-重水素同位体の分離にかかる基本性能がわかった。ハフニウム単独では重水素等の高濃度濃縮は難しく他の方法をの組み合わせで効率的な濃縮が出来ると考えられる。
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Research Products
(1 results)