2010 Fiscal Year Annual Research Report
両生類の皮膚にみる生き残り戦略ー感染防御における外分泌系と内分泌系の相互作用
Project/Area Number |
21570068
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岩室 祥一 東邦大学, 理学部, 准教授 (70221794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊山 榮 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 名誉教授 (20063638)
小林 哲也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00195794)
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Keywords | 抗菌ペプチド / 抗菌性ヒストン / ハーダー腺 / 両生類 / 脱顆粒 / オキタゴガエル / ウシガエル / ニホンアカガエル |
Research Abstract |
本年度の主な研究実績として、(1)ニホンアカガエル皮膚からの抗菌ペプチドJaponicin-1及び Japonicin-2のcDNAクローニングとその器官別mRNA発現量の定量化、並びにJaponicin-2の分子内ジスルフィドの抗菌活性発現における必要性、(2)ウシガエルハーダー腺からの抗菌ペプチドcDNAのクローニングと発現部位の同定、(3)ナガレタゴガエル脳からの抗菌ペプチドcDNAのクローニング、についての成果を3編の学術論文として発表した。さらに、(4)両生類皮膚由来培養細胞を用いた抗菌ペプチド遺伝子のクローニングとホルモンによるその発現への影響、(5)ニワトリ培養細胞からの抗菌ペプチド遺伝子のクローニングと細菌毒素によるその発現への影響、(6)ウシガエル脳、舌、並びにハーダー腺における抗菌ペプチド遺伝子の発現解析、(7)抗菌ペプチドによるマスト細胞刺激作用の検出系の作製と応用、(8)ヒストン群タンパク質の抗菌活性の検出とその作用機序の解明、等について成果を挙げ、いずれも学会発表を行うとともに、一部は論文を執筆中である。これらの成果により、抗菌ペプチドは皮膚以外でも遺伝子発現していることが明らかとなり、直接的な抗菌作用以外にも多様な機能を有していることが示唆された。実際、脳、ハーダー腺、舌のいずれの器官においても多数の肥満細胞の存在が認められ、さらに一部の抗菌ペプチドには肥満細胞刺激作用があることが確認できたことから、抗菌ペプチドには、抗菌作用に限らない、広範囲の生体防御因子としての機能を期待できることが強く示された。一方、抗菌ペプチドの遺伝子発現には大腸菌毒素であるリポ多糖が強い促進活性を有することと、これら作用は副腎皮質ホルモンにより抑制されることを、培養細胞を用いて明らかにしたことから、抗菌ペプチド遺伝子の発現調節における内分泌系の影響の解析法が飛躍的に向上した。
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Research Products
(14 results)