2009 Fiscal Year Annual Research Report
縫線核セロトニン神経によるエストロゲン受容体発現調節
Project/Area Number |
21570070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 兄人 Waseda University, 人間科学学術院, 教授 (10053357)
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Keywords | エストロゲン受容体α / ダウンレギュレーション / 性差 / 視床下部 / 中脳中心灰白室 / セロトニン神経 |
Research Abstract |
本研究の目的は哺乳類の生殖機能におけるセロトニン神経の役割をエストロゲン受容体との関係に着目して解析しようとするものである。本年度は5つの研究を遂行している。その中で、エストロゲン受容体α(ERα)の発現について、雌雄差およびエストロゲンによるERαのダウンレギュレーションの雌雄差について、免疫組織化学的に解析したもので結果を得ることができ雑誌に受理されている。雌雄ラットを去勢し、1週間後、それぞれ半数に1mgエストラディオールベンゾエート(EB)を投与した。EB投与24時間後、ネンブタール麻酔下で還流固定をおこない脳を摘出し、後固定後、クレオスタットで前脳から中脳にかけて50μmの凍結切片を作成した。切片をERα抗体で染色し、排卵に関わる視索前野前腹側脳室周囲核(AVPvN)、ロードーシス促進センターである視床下部腹内側核外腹側部(vIVMN)、下垂体制御に重要な弓状核(ARCN),生殖機能に重要な中脳中心灰白質外側部(IMCG)の免疫陽性細胞数を計測した。その結果、vIVMNのみERα免疫陽性(-ir)細胞数(密度)は雌の方が多くかった。また、雌の測定部位ではすべてEBによるERのダウンレギュレーションがみられたが、雄のAVPvNとIMCGでは少し低下したが統計的な差がなく、脳の部位によりエストロゲンによるERのダウンレギュレーションに性差があることが示された。これは、神経核それぞれにERαの発現調節に違いがあることを示している。機能制御の基盤としてこのような仕組みがあることが明らかにされたのは意義がある。そのほかに、セロトニン神経そのものの雌雄差、運動負荷などによる性周期異状と中脳縫線核について結果が得られ国際学会で発表したがまとめる方向で実験を追加している。セロトニン神軽とERαの発現について、まだ結果が出ておらず、現在実験を進行させているところである。
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