2010 Fiscal Year Annual Research Report
縫線核セロトニン神経によるエストロゲン受容体発現調節
Project/Area Number |
21570070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 兄人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10053357)
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Keywords | 縫線核 / セロトニン神経 / 性差 / 部位差 / ストレス / 性周期 / 運動負荷 |
Research Abstract |
本年度の研究は5つのテーマで行われ、そのうち、下記の2つについて結果が得られた。 実験1[目的]縫線核セロトニン神経の合成阻害剤に対する部位差と性差解明。[方法]雌雄成熟ラットを去勢し100mg/kg bw Parachlorophenylalanine(PCPA、セロトニン合成阻害剤)または生理食塩水を4日連続腹腔内投与した。最終投与の24時間後灌流固定し、脳の40µm凍結切片を作成した。セロトニン免疫染色を行い、中脳背側縫線核(DR)と正中縫線核(MR)と延髄大縫線核(RMg)のセロトニン免疫陽性(5-HT-ir)細胞数を計測した。[結果]雌のDR,MR,RMgの5-HT-ir細胞数はPCPAと対照群で違いがなかった。雄では、PCPA投与群のDRとMRの5-HT-ir細胞数が少なかったが、RMgでは差は見られなかった。これらの結果は、中脳縫線核のPCPAに対する反応性に雌雄差があること、延髄縫線核と中脳縫線核で違いがあることを示している(Neurosci.Res.67(1),33-39,2010)。 実験2[目的]強制運動による性周期異常に対する中脳縫線核の役割解明。[方法]雌ラットにDRまたはMRの高周波破壊(DRL,MRL)を行い、1日に30分電動輪回し器に入れ強制運動をさせた。15日間運動をさせ、その間の膣スメアーで性周期をチェックした。[結果]対照群や偽手術群より、DRLとMRL群の性周期異常発生率は高く、また、対照群と偽手術群は15日でも性周期異常が開始されないが、DRL群は5日、MRL群は3日と有意に早く生じることが示された。この結果は、中脳縫線核が排卵周期をストレスから防御している可能性を示すものである(Neurosci.Lett.2011 in press)。
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