2011 Fiscal Year Annual Research Report
縫線核セロトニン神経によるエストロゲン受容体発現調節
Project/Area Number |
21570070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 兄人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10053357)
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Keywords | 縫線核 / セロトニン神経 / エストロゲン受容体α / エストロゲン受容体β / ストレス / 性周期 / 運動負荷 / 代償性卵巣肥大 |
Research Abstract |
本年度得られた結果は以下のとおりである 1.セロトニン神経系と相互連絡のある前頭前野が運動負荷による排卵異状にどのよな役割を持つか、前頭前野内側部皮質または外側部皮質を高周波破壊した性周期の正常な雌ラットを電動式回転かごに入れ、1日30分の運動負荷をかけた。その結果、内側部を破壊すると、性周期異常が対照群や外側破壊群より早く生じ、コルチコステロンが低い状態であった。したがって、前頭前野内側分皮質が運動ストレスから排卵機構を守っていることが示唆された(来年度発表予定)。 2.正常性周期の雌ラットの片側卵巣を除去し、2週間後に代償性卵巣肥大率をもとめ、視床下部ERαの免疫陽性細胞数の計測を行った。代償性卵巣肥大は生じたが、視床下部のERα免疫陽性細胞数に大きな変化がなかった。代償性卵巣肥大においてERαのダウンレギュレーションは大きな役割を持っていないことが示された(未発表)。 3セロトニン系とERαの関係を明らかにするため、卵巣除去ラットの中脳縫線核を破壊するか、セロトニン合成阻害剤を投与し、視床下部,のERα免疫陽性細胞数を計測した。一部の神経核でERα免疫陽性細胞数の増加が見られたが、統計的に有意ではなく強いものではなかった(未発表)。 4脳機能の性差形成にERαがどのように関わっているか、エストロゲン受容体αとβ作動剤であるPPTとDNPを出生直後の雌ラットに投与し、膣スメアー検査、卵巣組織検査、ロードーシスを観察した。その結果、PPTの効果が強く、DPNは効果がほとんどなかった。したがって、脳機能の性差形成にERαが重要であることが示された(Kanaya and Yamanouchi,Neuroendocrinology,2012 in Press)
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