Research Abstract |
1タロイモショウジョウバエ(Colocasiomyia)属の系統関係を,中国雲南省から発見された新種を含めて,70の形態形質に基づく分岐分析により再検討した.その結果,これまでの研究では未解明であった5種群間の系統関係を解明することができ,さらに,これまで種群所属不明であった2種と雲南省産の新種が単系統群を形成することが判明し,これらを新しい種群にまとめることにした. 2cristata種群(10既知種,10新種)内の系統関係を32の形態形質を用いて分岐分析した.その結果,本種群は2つの明瞭な姉妹群に分かれることが明らかになり,それぞれを種亜群として定義することにした. 3toshiokai種群の送粉共生系について,インドネシアにおいて,寄主植物(Homalomena cordata)の開花過程とショウジョウバエ(C.heterodnta, C.xanthogaster)の訪花・繁殖行動を野外調査した.その結果,(1)寄主植物の花は,約1日間のみ開花し,その開花,発熱(雌花部)・匂い発散,花粉放出・閉花の過程と,ハエの訪花,滞在(産卵),離花の過程がよく同調しており,非常に効率的な受粉,花粉運搬のシステムが成立していること,(2)2種のハエは,ともに雌花部へ産卵,雄花部で幼虫発育,花外で蛹化し,空間的なニッチ分化はないが,C.xanthogasterの方が早く発育するために,時間的に資源を分け合っていること,が明らかになった. 4沖縄のクワズイモ(Alocasia odora)の系で,中性花部下部から花蜜(糖類と遊離アミノ酸を含む)が分泌され,タロイモショウジョウバエ(C.alocasiae, C.xenalocasiae)がそれを摂取していることが判明した.
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