2009 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵外被マトリックスの精子認識機構ならびに三次元構築機構
Project/Area Number |
21570109
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米沢 直人 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80212314)
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Keywords | 糖タンパク質 / 受精 / 細胞外マトリックス / 透明帯 |
Research Abstract |
哺乳類卵子を包む透明帯は,3ないし4種類の糖タンパク質からなる網目状構造をもち,受精の時に精子と種選択的に結合するが,この結合については透明帯の糖鎖部分が関わるとする糖鎖説とタンパク質骨格部分の立体構造が関わるとする超分子構造説が唱えられている。マウスZP3が単独で精子結合活性を示すのに対し,ブタおよびウシではZP3/ZP4複合体が活性を示し各々単独では活性を示さない。平成21年度は,ウシZP3/ZP4複合体の精子結合部位の同定を目指し,各糖鎖付加部位変異体やサブドメインをバギュロウイルス-Sf9細胞系で発現させ,複合体形成の有無と精子結合活性を調べた。その結果,ZP3のZPドメイン前半部とZP4のZPドメイン後半部とが弱いものの相互作用し精子結合活性を示すことがわかった。ZP4のN結合型糖鎖は精子結合には必要ないことがわかった。ブタの場合之ZP4のN結合型糖鎖が精子結合に関与することから,透明帯の精子結合部位は近縁の哺乳類間でも異なることが示唆された。今後ウシZP3のN結合型糖鎖の精子結合への関与の有無を検討する必要がある。マウスZP3のZPドメイン前半部が繊維形成能を有するという報告があるが,ウシZP3のZPドメイン前半部同士間の相互作用は検出できなかった。ZPドメインの機能が動物種間で異なることが示唆された。ブタ精子ADAM2が透明帯結合因子の一つであるという報告に基づき,結合機構の解明を目指した。特異抗体を作製しブタ精子からの部分精製法を見出した。ゲルろ過により高分子複合体を形成していることが示唆された。部分精製したADAM2は透明帯との結合機構の解明に利用できると期待される。
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