2010 Fiscal Year Annual Research Report
モノADPリボシル化毒素と基質蛋白質複合体の結晶構造および反応機構の基盤解析
Project/Area Number |
21570121
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
津下 英明 京都産業大学, 総合生命学部, 教授 (40299342)
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Keywords | C3 / RhoA / Ia / アクチン / モノADPリボシル化 / 結晶構造解析 / 特異性 |
Research Abstract |
ボツリヌス菌C3毒素は低分子量GタンパクであるRhoAのAsn41をADPリボシル化する。C3毒素でRhoAのAsnがADPリボシル化されると、その下流のシグナル伝達系が不活化され、アクチンの重合化が阻止され細胞死が誘導される。C3毒素とその標的のタンパクであるRhoAの複合体の結晶構造解析を目的として基質RhoAの大量発現を試みた。この結果、RhoAの安定化したF25Nの大量発現に成功し、C3毒素による活性化が見られた。しかしながら蛋白を混ぜた時点で沈殿をする事から、複合体での安定条件の探索を行っている。枯草菌で得られているC3酵素にわずかなプロテアーゼの混入がありRhoAを不安定化させていると考えられ、この問題を検討し、さらに複合体結晶化に進もうとしている。 一方、我々はウェルシュ菌ADPリボシル化毒素Iaとアクチン複合体の結晶構造を既に明らかにしている。かねてからIaはαアクチン、βアクチンともに、ボツリヌス菌C2IはβアクチンのみADPリボシル化する事が知られている。この特異性がなぜ生ずるかについては不明であった。この特異性の解明を目的にアクチンの変異体の発現を検討している。アクチンを粘菌発現系は既に産総研の上田等により確立されており、この系を用いたアクチンの変異体の取得を検討している。また、粘菌アクチンに対するIaおよびC2IによるADPリボシル化により、新たな知見が得られた。さらに構造情報と合わせて検討を進める事により、モノADPリボシル化の特異性がなぜ生じるのか検討を進めている。
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