2011 Fiscal Year Annual Research Report
モノADPリボシル化毒素と基質蛋白質複合体の結晶構造および反応機構の基盤解析
Project/Area Number |
21570121
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
津下 英明 京都産業大学, 総合生命学部, 教授 (40299342)
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Keywords | C3 / RhoA / Ia / アクチン / モノADPリボシル化 / 複合体結晶構造解析 / 特異性 |
Research Abstract |
多くの病原性細菌はモノADPリボシル化毒素(ADPRT)を持ち、ヒトの重要な蛋白質を標的にモノADPリボシル化することで,その機能を不全にする。これら修飾酵素と基質蛋白質の構造と機能は複合体構造解析なしには理解できない。我々はウェルシュ菌ADPリボシル化毒素Iaとアクチン複合体の結晶構造(βTAD-Ia-actin)を2008年に明らかにした。アクチンおよびRhoAを修飾する毒素では、基質は全く違うが酵素の構造は非常に似ている。結晶が得られるIa-アクチンの系でADPリボシル化に伴う様々な状態での構造を解析する事から一般的なADPリボシル化の構造変化および反応を考察できる。この系で新たにNADやβTADを含まない、apo-Ia-actin複合体で結晶が得られ結晶構造を明らかにした。またapo-Iaの結晶構造が得られた。既に我々が構造を得ているNADH-Ia,βTAD-Ia-actinと合わせて詳細に構造変化検討することにより、一連のADPリボシル化反応に伴う構造変化を明らかにした。 ボツリヌス菌C3毒素は低分子量GタンパクであるRhoAのAsn41をADPリボシル化する。C3毒素でRhoAのAsn41がADPリボシル化されると、その下流のシグナル伝達系が不活化され、アクチンの重合化が阻止され細胞死が誘導される。C3毒素とその標的のタンパクであるRhoAの複合体の結晶構造解析を目的として基質RhoAの大量発現を試みた。この結果、RhoAの安定化したF25Nの大量発現に成功し、C3毒素による活性化が見られた。HisタグおよびGSTタグでの発現し、精製をそれぞれ行い、複合体での安定する結晶化条件の探索を行っている。いくつかの条件で微結晶が得られた。今後より精密化して回折データを取れるように大きくする必要があり、さらに複合体結晶かどうかを見極めていく。
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