2009 Fiscal Year Annual Research Report
PKCとの機能協関に着目したDGキナーゼの機能解析とその応用
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21570139
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白井 康仁 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 准教授 (60263399)
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Keywords | 脂質キナーゼ / ジアシルグリセロール / フォスファチジン酸 / 記憶 / LTP / スパイン / KOマウス |
Research Abstract |
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は、PKCや様々な酵素を活性化する脂質シグナルであるジアシルグリセロール(DG)をリン酸化しフォスファチジン酸(PA)を産生する脂質キナーゼである。間接的にPKCを抑制しうるが、その生理機能については未だ不明な点が多い。その一方で、最近心臓や免疫系におけるDGKの重要性が報告されているが、現在DGKを作用点とする薬剤はほとんどない。そこで、本研究ではこれまでの研究に基づき、PKCとの機能協関を念頭におきながら神経系及び腎糸球体機能維持におけるDGKの役割を解明するとともに、将来的なDGKを作用点とするサブタイプ特異的薬剤の開発を目指した。とくに本年度は、神経系における役割に重点を置いた。 まず、マウス海馬初代培養細胞にアデノウイルスを用いてGFP-DGKβを発現させ、神経突起の数、分枝の数、スパイン数を測定した。その結果、DGKβを発現させると分枝の数が有意に増加し、スパイン様構造も多く認められるようになった。ついで、Sleeping beautyトランスポゾン法を用いて作製したKOマウスから海馬初代培養細胞を調製し、その形態を調べたところ、分枝数及びスパイン数が有意に減少していた。また、この形態異常はDGKβの過剰発現により改善した。さらに、KOマウスの表現形を解析したところ記憶障害が認められた。そこで、海馬CA1領域のLTPとスパイン密度を野生型と比較したところ、KOマウスではスパイン数が減少していた。これらのことから、DGKβはスパインといった神経細胞特有の形態を維持することにより神経ネットワーク形成、しいては記憶などの脳高次機能において重要な働きをしていることが明らかになった(投稿中)。
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Research Products
(8 results)