2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン-プロテアソーム経路におけるUBL-UBAタンパク質の機能解析
Project/Area Number |
21570140
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 英紀 Okayama University, 教育開発センター, 教授 (20150394)
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Keywords | タンパク質 / プロテアソーム / ユビキチン / Gタンパク質 / 出芽酵母 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ユビキチン依存タンパク質分解は、タンパク質の分解と選別の制御をとおして、細胞周期、ストレス応答など種々の細胞機能の調節に重要な役割を担っている。本研究では、この分解経路のユビキチン化とプロテアソーム経路、および両経路を介在する分解タンパク質の配送経路の分子機構を解明することを目的として、出芽酵母の配送因子であるUBL-UBAタンパク質(Dsk2)に相互作用するプロテアソームタンパク質とその調節因子を同定し、プロテアソーム調節粒子Baseの生合成とその構造解析を行った。 (1) 過剰発現したDsk2は生育阻害を引き起こすことを利用して、その生育阻止を抑圧するサプレッサーを分離した。その温度感受性変異の致死を相補する遺伝子変異を解析し、プロテアソームbaseの構成タンパク質Rpt4と同定した。また、そのマルチコピーサプレッサーNas2を同定した。Nas2-Rpt4複合体がBase前駆体を構成した。同様にしてNas2, Hsm3, Nas6, Rpn14を介してRpt1-6のBase複合体が形成されることを示した。 (2) 出芽酵母Dsk2と相互作用する新規の遺伝子Dif1を同定し、その機能解析を行った。Dif1タンパク質は、NaC1, KC1, CaCL2などの高塩濃度による浸透圧ストレスに対して感受性を示す配送因子の結合タンパク質であることを示した。 (3) ストレスに応答して分解される出芽酵母のスモールGタンパクGtr2の分解のしくみと配送経路との関係を解析し、Gtr1-Gtr2複合体のTORシグナル経路への関与について解析した。 これらの解析結果は、ユビキチンープロテアソーム分解経路の配送因子として働くUBL-UBAタンパク質が、プロテアソーム調節粒子の形成経路の調節的役割をもつこと、また、配送因子Dsk2がストレス応答に関与することを示している。プロテアソーム粒子の生合成、及びタンパク質分解とストレス応答制御の今後の研究に重要な知見を供すると考えられる。
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