2009 Fiscal Year Annual Research Report
SHAPによるCD44-ヒアルロン酸相互作用の制御と炎症における役割の解析
Project/Area Number |
21570147
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
卓 麗聖 Aichi Medical University, 医学部, 准教授 (00399031)
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Keywords | SHAP / ヒアルロン酸 / CD44 / 炎症 / 細胞接着 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子欠損によりSHAP-HA複合体の形成不能のマウスを用いて、炎症病態におけるSHAP-HA複合体の役割を解析した。平成21年度の結果を以下に報告する。 (1)肝損傷モデル:リポ多糖エンドトキシン(LPS)/D-ガラクトサミン(GalN)による肝障害モデルでは、野生型マウスに比べて、SHAP欠失マウスの肝臓損傷は顕著に軽かった。まず、LPS/GalN投与後の生存率は、野生型マウスでは0~20%で、SHAP欠失マウスでは90%で、有意に高かった。次に、血液生化学指標(ALT濃度)や肝組織の病理学検査においても、SHAP欠失マウスは軽症であることが認められた。さらに、肝臓類洞内皮にSHAP-HA複合体の沈着を確認し、SHAP欠失マウスでは好中球細胞の類洞内皮への接着が4割程度低下したことを見出した。これらの結果は、SHAP-HA複合体が類洞内皮に存在し、接着分子として好中球細胞の粘着や浸潤を促進し、LPS肝障害の発症に関与することを示唆した。 (2)肺疾患モデル:卵白アルブミンによる喘息モデルでは、SHAP欠失マウスの気道過敏性が、野生型マウスより亢進したことを見出した。SHAP欠失マウスでは、肺洗浄液中のIL12とsTNFR1の濃度が低下していた。IL12はTh1細胞を活性化し、気道過敏性を抑制的に働くことが報告されている。一方、sTNFR1がTNFaのシグナル伝達を阻断する作用がある。これらの抑制因子の濃度低下は、Th2優位のアレルギー反応である気道過敏性を亢進させたと推測する。また、SHAP欠失マウスでは気道上皮の修復が遅れていた。損傷後気道上皮の修復には、Vitronectin分子が必要であることが報告されている。本研究は、生化学手法により、VitronectinとSHAPと相互作用することを確認できた。SHAPのもう一面の生理機能を明らかにした。
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[Journal Article]2009
Author(s)
卓麗聖, 木全弘治(田畑泰彦編集)
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Journal Title
ますます重要になる細胞周辺環境の科学技術-細胞の生存、増殖、機能のコントロールから再生医療まで(株式会社メディカルドゥ)
Pages: 195-200
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