2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21570191
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Research Institution | 独立行政法人国立がん研究センター |
Principal Investigator |
太田 力 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (10290892)
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Keywords | DNAチップ解析 / 細胞増殖 / 癌細胞 |
Research Abstract |
下記3つの研究を行い、課題である「新規細胞増殖経路の探索」を推進した。 (1)Nrf2の活性化によって引き起こされる腫瘍細胞の増殖亢進カスケードの探索:恒常的にNrf2が活性化されている腫瘍細胞(KEAP1遺伝子およびNRF2遺伝子に変異が見出されている肺癌由来の培養細胞)においてNRF2遺伝子特異的なsiRNAを作用させ、HRF2遺伝子の発現をノックダウンさせた。この細胞からRNAを抽出し、DNAチップ(アフィメトリックス社)を用いて網羅的な遺伝子発現解析を行なった。その結果、恒常的にNrf2が活性化された腫瘍細胞内で、Nrf2依存的に活性化されている遺伝子約200個を抽出した。これら遺伝子の中には解毒カスケードで働く因子が80%以上含まれていた。解毒カスケードで働く因子を除く遺伝子のsiRNAを用いて、腫瘍細胞の増殖亢進に関与する遺伝子探索を試みているが、足場非依存細胞増殖能に影響する遺伝子は見つかっていない。 (2)Nrf2蛋白質複合体の解析:N末端にHis6-Flag-tagを挿入したNRF2遺伝子を発現させた細胞を用いて細胞核内におけるNrf2蛋白質複合体の精製を試みたが、質量分析解析に使える量を得ることが出来なかった。そこで、N末端にHis6-Flag-tagを挿入した細胞内での分解が抑制される変異型NRF2を恒常的に発現する細胞の構築に成功した。この細胞を用いて細胞核内におけるNrf2蛋白質複合体う部分精製したところ、分子量は2Mdを超す、巨大な複合体を形成していることがわかった。 (3)活性型Nrf2蛋白質のリン酸化部位の探索:Nrf2蛋白質のリン酸化部位を探索し、3か所のリン酸化部位を見出した。この部位をAla置換した蛋白質の解析を行ったが、今のところ、転写活性化への影響を見出せていない。
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