2011 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成細胞におけるmitosisからmeiosisへの分子スイッチ機構の解明
Project/Area Number |
21570228
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐藤 陽子 山口大学, 農学部, 学術研究員 (50398963)
|
Keywords | 精子形成 / 減数分裂 / 細胞融合 / 培養系 |
Research Abstract |
哺乳類の雄性生殖細胞は精子形成過程のはじめに、精原細胞を体細胞分裂により増殖させた後減数分裂を開始する。減数分裂を正常に進めるための因子は数多く報告されているが、体細胞分裂より減数分裂への移行のメカニズムや関与する因子については不明である。本課題では、減数分裂移行可能なcompetent精原細胞と不可能なnon competent精原細胞を用いて細胞生物学的手法により減数分裂誘導因子と抑制因子の存在を明らかにし、またその因子の同定を行うことを目的とする。 昨年度までに、減数分裂誘導因子を解析する細胞融合を用いた実験系の確立を目指し、電気穿孔法により自立的に減数分裂移行可能なcompetent精原細胞と不可能なnon competent精原細胞のヘテロカリオン作製条件を決定したが、減数分裂の誘導を起こせなかった。そこで核からの影響を除くため、competent精原細胞又は、減数分裂を行っている精母細胞からサイトカシンB処理後遠心脱核することにより得た細胞質とnon competent精原細胞を電気穿孔法により融合し、サイブリッドを作製する条件を検討した結果、成功率は低いが融合後、すぐにnon competent精原細胞で核の形態が変化し、減数分裂前期ザイゴテン期様の形態を示すことを明らかにした。このことは、精母細胞に減数分裂を誘導する物質が含まれている可能性を示唆している。さらに、このドナー核の変化、を免疫組織化学的手法を用いて冠減数分裂のマーカー分子の発現について検討中である。また、減数分裂誘導因子の分子的な解析を行うため、このサイブリッド作製による減数分裂誘導アッセイ系の確立を試みたが効率及び細胞質分画を含む人工膜作製には今後の検討が必要である。今後は、精原細胞の細胞質とのサイブリッド作製により、融合後にドナー細胞に減数分裂を起こす条件、また、抑制する条件をさらに詳細に検討することにより、減数分裂誘導、抑制因子の検討をさらに進めて行く予定である。
|