2010 Fiscal Year Annual Research Report
三次元細胞モデルを使って上皮陥入機構を明らかにする
Project/Area Number |
21570234
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
本多 久夫 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (10289118)
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 形態形成 / 細胞モデル / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ハエ初期胚の気管形成時にみられる上皮陥入の観察(理化学研究所)に基づき、3次元細胞モデルを使って、上皮細胞にどのような性質があれば陥入が実現するかを調べた。 上皮陥入細胞一個の厚みでできた上皮シートの中で、特別な細胞がきまり、これを取り囲む細胞の能力として、(1)巾着絞り、(2)中心細胞に対するアーク形成、(3)体内への移動を考えている。巾着絞りとは、上皮細胞のアピカル面の多角形の辺長が収縮することで、これの実体はアドヘーレンス結合に沿って走るアクチン繊維の収縮を考えている。アーク形成は、実際に観察で見られていることだが、中心細胞を中心に同心円状のアークが形成されている。これの実体は細胞内に平面内細胞極性(PCP, planar cell polarity)が存在し、細胞のアピカル多角形の特別な辺にミオシン分子の集積が起こり、アクチン繊維が収縮する機構を考えている。細胞の体内への移動は、上皮シートに並んだ細胞が隣接細胞に対しズレを起こし体内に移動することを考える。これには上皮シートに垂直方向に配列した微小管の配列が働いていると考える。これらのことを三次元細胞モデルに入れ込んで、陥入が起こるかどうかを前年に引き続き調べた。 大規模な陥入には、巾着絞りおよび細胞の体内への移動の両方とも必要であるのだが、前年度は巾着絞りに、陥入中央から遠い細胞が逆の巾着絞りを行いアピカルでの面積を拡大することを考えたのだが、実際にこれを裏付ける実験事実は不明であることから、陥入中央から遠い細胞のアピカル面積は不変なまま、中央近くの細胞のアピカル面積を小さくすることで同じような陥入が起こる条件を探索し見つけることができた。また、中央の細胞がシミュレーションでは実際よりも大幅に平たくなるので、中央細胞は細胞の背丈を維持する機構を取り入れる試みを行った。
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