2010 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫SERA遺伝子ファミリーの多様化による寄生適応と宿主域
Project/Area Number |
21570238
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有末 伸子 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00242339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 俊宏 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80142305)
東岸 任弘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20379093)
八木 正典 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (60452463)
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Keywords | マラリア原虫 / 遺伝子ファミリー / SERA / 宿主 / 多様性 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
本研究課題の目的はSERA遺伝子ファミリーを構成する遺伝子やタンパク質分子を用いて、マラリア原虫の宿主域や、宿主からの免疫応答を原虫が回避するメカニズムを解析し、SFRAが関与するマラリア原虫の寄生適応の分子基盤を明らかにすることにある。 本年度は1、マラリア原虫SERA遺伝子の発現解析、2、SERA欠損マウスマラリア原虫の作製及びP.vivax SERA組換えタンパク質の作製、3、SERA遺伝子の多型解析の3項目について検討を行った。1からは、アフリカのマカクを自然宿主とするP.gonderiがニホンザルにも感染可能であること、最大の発現量を示し、原虫の増殖に必須だと推測されるSERA遺伝子のレパートリーがこれまでにアジアのマカクを自然宿主とするマラリア原虫による解析から示されていたものと同系統に分類されるSERA遺伝子であることが解明された。2では、P.vivaxで最大の発現量を示すSERA4の組換えタンパク質の作製ができたので、今後、免疫学的解析に用いる予定である。3では、ヒト三日熱マラリア原虫P.vivaxと、その近縁種でアジアのマカクを自然宿主とするP.cynomolgiの各SERA遺伝子の多型の程度を比較した。P.vivaxの起源はアジアのマカクを宿主とするサルマラリア原虫からヒトへの宿主転換にあると推測されており、遺伝子配列に基づく.系統解析から、P.cynomolgiが最近縁種であるとされている。各SERAの多型の程度はP.cynomolgiのほうが、P.vivaxよりも高い傾向があり、これは、P.cynomolgiがP.vivaxよりも古い系統であることを示唆しており、前述の仮説と矛盾しないことがわかった。
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