2011 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地帯におけるイネ低温順化反応性に関する育種学的研究
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21580001
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
大西 一光 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (50526704)
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Keywords | イネ / 低温抵抗性 / QTL / 遺伝資源 / 環境適応性 |
Research Abstract |
低温ストレスはイネの生育期間全般にわたり様々な傷害を引き起こし、栽培地域を制限する最大の要因の一つである。特に、世界の稲作の北限地帯の一つである北海道は、冷涼な気候と短い生育期間によって引き起こされる低温傷害が最大の制限要因となっていたが、19世紀後半から現在に至るまで絶え間ない育種努力により、現在の稲作体系が確立された。しかしながら、栽培イネの進化過程の中で、低温抵抗性の遺伝的変化がどのように北方適応や北海道品種群の成立に寄与したかについては不明な点が多い。本研究では、これまで厳密に評価されてこなかった低温順化反応性の育種的意義を評価するとともに、寒冷地帯におけるイネ低温適応の遺伝的機構を解明することを目的としている。 これまでに、低温抵抗性を示す北海道在来品種A58と低温感受性を示す野生イネ系統W107との組換え自殖系統を用いて同定した幼芽期低温抵抗性QTL(qCTP11)について、約4500個体の分離集団を用いてファインマッピングを行った。その結果、qCTP11を約12kbの領域に絞り込むことができた。「日本晴」ゲノム配列に基づくアノテーションでは5つの遺伝子が予測されている。しかしながら、候補領域を含む約11.5kbの配列と98%の相同性も持つ配列が、同じ染色体上の下流約900kbで重複する。また部分的な相同性を持つ配列も複数存在することが明らかとなり、Wl07の候補ゲノム領域の特異的増幅や発現解析が困難であった。そこでW107と同様に感受性の対立遺伝子を持つことが明らかとなっており、比較的配列決定が容易なジャポニカ品種である「ほしのゆめ」を用いて塩基配列の比較を行った。今後、候補領域約12kb内に存在する6つの組換え体を用いてさらなる領域の絞り込みを進め、原因配列の特定を行う。
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[Journal Article] Effects of acclimation on chilling tolerance in Asian cultivated and wild rice2011
Author(s)
Baruah, A. R., Onishi, K., Oguma, Y., Ishigo-Oka, N., Uwatoko, N. and Sano, Y.
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Journal Title
Euphytica
Volume: 181
Pages: 293-303
DOI
Peer Reviewed
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