2009 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水分環境による普通ソバの収量・品質のコントロール
Project/Area Number |
21580012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
萩原 素之 Shinshu University, 農学部, 教授 (90172840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 直人 信州大学, 農学部, 教授 (80232544)
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Keywords | 普涌ソバ / 土壌水分 / 乾物重 / 光合成速度 / 出液 / 下位節間長 / 挫折強度 |
Research Abstract |
普通ソバの収量と品質を土壌水分のコントロールで向上させることを目標とし、品種信濃1号を畑状態(平年降水量相当の給水)を対照区(C)とし、乾燥区(D:対照区の1/2給水)、過湿区(地下水位-10cm(W2)と-15cm(W1))の4試験区を設けてポット栽培した。土壌水分処理は本葉展開後に開始し、土壌水分センサーで土壌水分の推移を記録した。 土壌水分はW2は約80%、W1は75~78%、Cでは開花始期に18%、開花盛期ころに14%で最低となり、その後は20%程度まで上昇した。Dは開花始期16%で、開花盛期ころに12%で最低となった。 乾物重はW1がCの2倍近く、W2もCをやや上回った。開花終期の花房重は、W1はCの3倍、W2はCの2倍で、過湿条件は生殖器官の成長を促進した。開花始~盛期までW1とW2の光合成速度はCを上回ったこと、出液速度と出液の硝酸態N濃度から求めたN吸収がCを大幅に上回った(最大12倍)ことが、W1とW2で生育が勝った主な原因と考えられた。生育が最も良かったW1でN吸収が勝ったのは、出液の硝酸態N濃度ではなく、出液量が多かったためであった。W1は開花終期まで生育がCを大幅に上回ったが、収量増加は小さかった。開花終期には葉面積と光合成速度がCと差がなくなったので、収量キャパシティーは増加したが、それに見合う光合成生産が開花終期以降、持続しなかったためと考えられた。よって、開花盛期以降は土壌水分が低下するのが生育・収量を最も向上させると推察される。受精率は、葉気温差と一定の相関がみられ、乾燥ストレスで低下する傾向にあった。過湿条件では下位節間が有意に伸長したが、W1はW2より下位節間の挫折強度が大きく、W1の有利性が示された。本年は結実が悪く、登熟粒が少量しか得られなかったため、穀実の成分分析は見送った。
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