2011 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水分環境による普通ソバの収量・品質のコントロール
Project/Area Number |
21580012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
萩原 素之 信州大学, 農学部, 教授 (90172840)
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Keywords | 普通ソバ / 土壌過湿 / 収量 / 倒伏指数 / 葉面積 / 茎重 / 挫折部モーメント |
Research Abstract |
本年は、これまでの実験で生育・収量の向上が見られている土壌過湿条件に注目した。過湿条件を与える頻度を毎日、3日または6日おきとし、前生育期間を強めの過湿条件(地下水位15cm)とした場合および生育前半は強めの過湿条件(地下水位15cm)、生育後半は弱めの過湿条件(地下水位20cm)とした場合の6と対照区の計7試験区(3反復)を設け、信濃1号を供試して実験を行った。追跡調査で主茎長、葉色等を調査し、主要生育時期には、器官別乾物重等をサンプリング調査した。収量調査では総開花小花数や登熟粒数、子実重等を調べた。個体あたり収量は、過湿処理区では対照区の1.6倍になる場合があり、過湿処理区の方が概して上回ったが、対照区との差は有意ではなかった。総開花小花数は3日おきまたは6日おき15cm区が対照区を有意に上回った。一方、受精率と結実率は毎日15cm→20cm区と3日おき15cm→20cmが高く、収量関連形質が一様に優れる試験区はなかった。開花終~収穫の茎重増加は、総花房数と有意でないものの正相関があり、登熟粒数と有意正の相関があった。開花終~収穫の間の茎重減少を抑制する、または茎重を増加させることが収量向上につながることを示唆した。収穫時の茎重は総花房数と0.1%水準で有意な正相関を示した。過湿処理で栄養生長量が増加傾向にあることから、過湿処理は茎重増加を通じて収量水準を向上させると期待できる。倒伏指数の決定要因である挫折部モーメントは、主茎の曲げ応力よりも主茎の断面係数に支配されたが、茎の断面形状は試験区間でほぼ同じと判断されたため、挫折部モーメントは実質的には茎の断面面積でに支配されたと考えられる。つまり、やや過湿条件を与えて栄養成長を促した場合も、茎の太さを維持できれば、倒伏指数の増加を招くことはないといえる。
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Research Products
(1 results)