2009 Fiscal Year Annual Research Report
同位体放出を利用した作物体における炭素窒素の動態解析
Project/Area Number |
21580013
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
巽 二郎 Kyoto Institute of Technology, 生物資源フィールド科学教育研究センター, 教授 (00163486)
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Keywords | 植物 / 環境 / ストレス / 安定同位体 / 生理学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,作物の生産性向上を最終目標として,植物器官から放出される炭素と窒素のδ値を解析し,呼吸代謝・窒素代謝系における炭素と窒素の由来と動態およびその生理的意義を解析することにある。これまでの研究において,C3作物とC4作物の間で呼吸に利用される炭素の一時貯蔵サイクルの長さが異なることが示唆されている。また両者における窒素利用効率の差異が知られている。そこで本研究ではとくにC3とC4作物の比較を中心に行う。 実験材料としてイネ(C3植物)とトウモロコシ(C4植物)を水耕栽培したものを準備した。植物体から放出される炭素のδ値を解析するためのガスサンプリングシステムを作成した。これを用いて暗呼吸作用により放出されるガスを採取した。次に採取したガスを真空ラインに導入し,水分など不純物を除去したのち,二酸化炭素ガスをパイレックス製のガラス管に封入した。 呼吸ガス採取条件の検討:植物体重あたりの二酸化炭素放出速度を求め,質量分析に必要な二酸化炭素量を得るための最適条件を求めた。 植物体から放出されるアンモニアガスの捕集方法について予備的に検討した。その結果,放出アンモニアガスを硫酸溶液に通して吸収させた後,吸収溶液をアルカリ性にして再放出したアンモニアガスを塩酸溶液に再吸収させる方法が考えられた。しかしアンモニアガスの放出・再吸収過程での同位体効果の影響が予想されるため,この点のチェックが今後さらに必要である。
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