2011 Fiscal Year Annual Research Report
海藻類からの新規極限環境微生物の探索とその有用糖質分解能の開発
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21580098
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 俊章 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (80109793)
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Keywords | 海洋バイオマス / 糖質分解菌 / 極限環境微生物 |
Research Abstract |
本研究では、海藻等のバイオマス資源を分解する極限環境微生物を探索、単離し、それらの分解機構の解明と利用技術の開発を目指した。 本年度は、藻食性魚類の腸内から分離した各種菌株の糖質分解能、分子系統を明らかにし、それらの海藻バイオマス利用における役割の解明を目指した。実験試料(藻食性魚類)としてアイゴやテンジクイサキを用いた。 上記個体から好アルカリ性や好塩性を示す菌株を中心に約600株分離した。そのうち、デンプン、セルロース、アルギン酸、キシラン等の分解能を示す菌株は約300株あった。また、複数の分解能を示す菌株が約120株分離できた。アイゴから分離した菌株とテンジクイサキから分離した菌株の分解能を比較すると、アイゴ分離菌からはアルギン酸分解能を示す菌株が多く、テンジクイサキ分離菌からはセルロース分解能を示す菌株が多かった。一部の分離株を分子系統解析した結果、アイゴから分離した菌株は、Vivrio属、Halomonas属、Bacillus属が多く見られた。特に、10月アイゴから分離した菌株については、放線菌門のStreptomyces属やIsoptericola属細菌も多く分離された。テンジクイサキから分離した菌株では、Vivrio属、Photobacterium属、Bacillus属が多かった。ジニトロサリチル酸法によるセルロースの還元糖の定量の結果では、Isoptericola variabilisとBacillus licheniformisが活性を示した。更に、これらの粗酵素を混合することにより相加効果を示した。また、これらの細菌はゲノム配列が報告されており、いくつかのセルラーゼ遺伝子を持つことが知られている。現在それらとの関連についても解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルロース分解活性についてプレート法により選択、分離された菌株について酵素活性測定法により調べた結果、酵素活性を持つ株が見つかって来た。それらの酵素は混合することにより相加効果を持つことが判明したので、今後、効率的な分解システムの開発が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
他の糖質分解菌についても同様の解析を進め、糖質分解酵素の分解機構の解明、分解酵素の高効率化、分解酵素の相乗効果等の検討を進める。更に、それらを組み合わせることにより高効率な分解システムの構築を目指す。
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