2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580115
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
藤井 道彦 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (80285155)
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Keywords | 代謝生理 / 活性酸素 |
Research Abstract |
酸素は多くの生物の生存に必須であるが、その一部は代謝の過程で活性酸素へと変化し、老化や疾病など種々の生命機能の劣化を引き起こす。しかし、細胞レベルにおける活性酸素の生成機構やその消去機構については不明な点が多い。これらを解明できれば、人類の健康増進(老化防止や疾病予防など)に大きく貢献できる。私たちはこれまで、哺乳類培養細胞やモデル生物の線虫Caenorhabditis elegansを用い、活性酸素感受性の変化を指標にして、活性酸素の生成や消去に関わる遺伝子を同定してきた。これら遺伝子の機能解析を行い、活性酸素が細胞内で及ぼす影響を解析し、老化や疾病の分子機構を解明することを目標とする。 C. elegansの活性酸素感受性変異体oxy-4、oxy-5、rad-8の原因遺伝子の機能解析 rad-8遺伝子の機能解析を行った。Rad-8変異体が、ミトコンドリアの形態異常を示すこと、呼吸鎖の活性低下、アポトーシスの上昇を示すことを示した。これらの結果より、rad-8遺伝子はミトコンドリアの機能に関係することを示した。 C. elegansの活性酸素高感受性をもたらす遺伝子の網羅的探索 RNAi法として、簡便な2本鎖RNAを餌の大腸菌内で発現させるfeeding RNAiを用いる。C. elegansの第1番染色体上の遺伝子を対象としたRNAiライブラリー(約2,400遺伝子、Geneservice社)を用いて、遺伝子を1つずつノックダウンし、活性酸素感受性を高める遺伝子を同定する。昨年度の研究より、第1番染色体上の遺伝子を対象とした探索を完了し、今年度はこれら遺伝子をノックダウンした際の感受性の変化を定量的に測定した。また、酸化タンパク質のレベルを測定することで、遺伝子ノックダウンにより、線虫が高レベルの酸化ストレスを受けていることを示した。
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