2010 Fiscal Year Annual Research Report
里山の再構築をめざした人と野生動物の軋轢リスク評価
Project/Area Number |
21580171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森本 淳子 北海道大学, 大学院・農学研究院, 講師 (50338208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 健太 酪農学園大学, エクステンションセンター, 特任准教授 (10533177)
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Keywords | 有害駆除 / 胃内容物 / 一般化線形モデル / エコトーン / 土地利用の配置 |
Research Abstract |
具体的内容:高いヒグマ個体密度をもち、地理的に近いが、土地利用配置の異なる知床地域と渚滑川流域を対象に、1990年以降のヒグマの駆除データと環境変量を集計した。ヒグマの駆除合計数を目的変数、ヒトとヒグマの活動領域の重なりを示す指標(森林と畑地・牧草地・市街地・道路の境界線の延長、畑地・牧草地に接するサケ遡上河川の延長、港および漁師小屋の数)を説明変数とする一般化線形モデル(GLM)を解き、ヒグマとヒトの軋轢が発生するエコトーンを明らかにした。解析の結果、海に囲まれた森、大規模な畑地・牧草地が離れて配置する知床では年間とおして森林-市街地の食物廃棄物・畑作物に依存しているのに対して、森と海が分断、細く開析した谷に畑地・牧草地が混在している渚滑では、年間とおして森林-農地の牧草や農作物に依存していることが明らかになった。そのほか、年間とおしてオスはメスよりも駆除個体が多いこと、子の分散期にあたる初夏や、森林内の餌資源が枯渇する晩夏に、亜成獣個体の駆除数が増加することなどが分かった。 意義:これまで、クマ類とヒトの軋轢発生の予測は、土地利用の「種類」のみに着目して行われ、また、季節変化を扱ってこなかった。本研究の成果は、土地利用の「配置」の違いが、軋轢の発生パターンの違いを生み出し、さらに、その特性が季節変化することを明らかにした点で意義がある。 重要性:ヒグマは害獣であるとともに絶滅が危惧される動物でもある。ヒグマの無駄な死を減らすために、軋轢をできる限り回避することが求められている。これまで漠然と行われてきた対策を、明確な根拠をもった効果的な対策に発展させるうえで、今回得られた成果は非常に重要であるといえる。
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Research Products
(2 results)