2010 Fiscal Year Annual Research Report
上木伐採による損傷が下層広葉樹の成長と生残に与える影響の解明
Project/Area Number |
21580192
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
倉本 惠生 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (00353673)
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Keywords | 択伐 / 間伐 / 損傷 / 持続的管理 / 予測モデル |
Research Abstract |
天然林択伐や、間伐による針広混交林誘導型人工林施業においては、上木の伐採時に伐木や搬器の衝突による下木の損傷が発生する。損傷の影響は即時的な滅失に留まらず、損傷木のその後の成長や生残にも及ぶと考えられるが、その実態は明らかではない。本課題では、針広混交林で行われる天然林択伐と、針葉樹人工林の間伐による混交林化を対象に、広葉樹下木の損傷実態と成長や生残への影響を解明し、損傷影響の予測や低減策の提案を行う。今年度は広葉樹の進入したトドマツ壮齢林で高性能林業機械を導入した人工林間伐を実施し残木損傷の分析を行った。定性間伐.(強度・弱度)、列状間伐(1伐3残、2伐4残)を比較した結果、2伐4残の列状間伐において損傷率が最も低くなっていた。損傷形態では剥皮型被害がどの間伐形式でも過半数を超えていたが、被害強度は定性より列状間伐で、列状間伐では1伐3残より2伐4残のほうが被害強度が小さい傾向にあった。一方、折損型被害は天然林択伐より少なく、そのほとんどは軽微な枝折れであった。天然林択伐との違いはハーベスタで保定した伐倒によると考えられ、剥皮被害の多さと間伐形式による違いは、保定した材の取り回しの際に衝突による剥皮被害が発生する可能性を示しており、伐木と残木の配置が被害度を左右する大きな要素と考えられた。これらの結果から、高性能林業機械を導入した間伐の際には被害抑制の観点からは2伐4残の間伐が有効であることを示せた。
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