2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゴーストフィッシング死亡量広域推定のための標準手法の日本海国際漁場への適用
Project/Area Number |
21580231
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松岡 達郎 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (80244268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安樂 和彦 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (50274840)
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Keywords | ゴーストフィッシング / 逸失漁具 / 漁業 |
Research Abstract |
(1)逸失漁具発生確率及びゴーストフィッシング死亡数の下限値を求めるために、発展途上国であり両者の発生が少ないであろうと考えられるマイクロネシア国ポンペイ州で、漁具逸失の現状聞き取り調査を行った。この結果、刺し網の逸失は極めて少なくかご漁具の逸失が中心であることがわかった。これは、研究代表者が過去にフィリピンで得た結果と同じである。 (2)前年度の調査で日本海での主要な逸失漁具がかご漁具であることが分かっていたので、かご漁具によるゴーストフィッシング発生メカニズムのモデルの高度化に取り組む実海面実験(鹿児島)を行った。 この結果、かご漁具の場合、従来提唱してきたサバイバル関数のモデルは不十分であり、入りかご過程を代表する指数関数と組み合わせることで、現場実験結果とよく一致するモデルを得ることができた。 (3)ゴーストフィッシング対策として期待される脱出リング付きパネル(逸失直後には小型個体の脱出を可能にし、一定期間経過後は脱落して逸失かごを無力化する)の機能に関する乗船実験(境港基地)及び水槽実験を行った。その結果、脱出リングを装着することで、通常操業中には大型個体の漁獲が増加することを発見し、これがカニの占位行動とかごの在かご最大許容量から生ずる、大型・小型個体の交代によるものであるとの理論モデルを提案した。これは、漁業者がゴーストフィッシング対策を行うことで漁獲にも有利に働くことを示すもので、本問題に対する解決策の提示に有力な根拠を与えるものである。 特に(2)及び13)の結果については、Fisheries Scienccに投稿すべく、論文を準備中である。
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