2009 Fiscal Year Annual Research Report
養殖ウナギのウイルス性血管内皮壊死症の原因ウイルス(JEAdV)核酸解析
Project/Area Number |
21580235
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小野 信一 Tokai University, 海洋学部, 教授 (20152530)
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Keywords | ウナギ / ウイルス性血管内皮壊死症 / RDV法 |
Research Abstract |
【目的】本年度の研究では、ウナギのウイルス性血管内皮壊死症の原因ウイルスの遺伝子構造解析のためウイルスの精製過程を必要としないでウイルスの塩基配列を決定できるRDV法や密度勾配超遠心法などによるウイルスの精製とクローニングにより本ウイルスの核酸の塩基配列を決定することを主な目的とした。 【方法】JEE細胞で本ウイルスを4日間培養後その培養上清からQIAamp Mini DNA抽出キッとを用いてDNAを抽出した。このDNA試料からRDV法によってウイルスDNA断片を増幅後、ダイレクトシークエンスによって塩基配列を決定した。RDV法で得られた塩基配列からプライマーを設計して、自然感染魚の鰓などの組織から本ウイルスの検出、さらにReal-time PCRによってJEE細胞内でのウイルスDNA量の挙動を解析した。 【結果】RDV法によって本ウイルスDNAの塩基配列を5.300bpまで決定した。この塩基配列をBlast検索すると既知のウイルスとは相同性は認められなかった。これは未知のウイルスである可能性が高く、全塩基配列を明らかにする必要があると考えられる。この塩基配列をアミノ酸配列に翻訳すると、わずかにPolyoma virusのLarge T antigenの一部に相同性があった。この部分の塩基配列から240bpを増幅するプライマーを設計し、これを用いて自然感染魚の鰓などの組織からPCRによって本ウイルスの検出を試みた結果、目的のサイズのDNA断片が増幅された。一方、正常魚からは検出できなかった。JEE細胞内のウイルスDNAは接種後2時間から検出され、24~48時間の間に著しい増加が見られ、144時間経過後にはウイルスDNAのコピー数1.23×10^7に達した。これらの結果から、今回設計したプライマーは本ウイルスを検出するためのプライマーとして有効であると考えられる。
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