2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580245
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 宏樹 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 教授 (90250505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 彰彦 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40091483)
清水 裕 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 技術職員 (00374629)
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Keywords | 魚卵 / アレルギー / アレルゲン / IgE結合部位 / イクラ / β'-compornent / 抗原交差性 |
Research Abstract |
魚卵アレルギーは日本の食習慣と密接に関わる食物アレルギーである.我々は,イクラ(シロザケ卵)の主要アレルゲンが卵黄蛋白質の一種β'-compornent(β'-c)であることを特定し,一次構造の決定を進めてきた.本研究では,シロザケβ'-cのヒトIgEに対する結合部位(エピトープ)を探索し,他魚種卵と共通するエピトープの存在を検討した. 得られた成果は次の通りである:1.シロザケβ'-cを限定消化して得た消化ペプチド群の中から,イクラアレルギー患者の血中IgEと反応する4種類のペプチドを見いだした.これらのアミノ酸配列は(1)YPVNMPLSCYQVLAQDCTIELK,(2)DHASEQNHINVK,(3)GEGVSLYAK,(4)VVDWMKであった.また,同じ配列を持つ合成ペプチドにおいても,血中IgEとの反応性が確認された.以上の結果は上記4つの配列中にエピトープが存在することを示している. 2.前述の各ペプチド配列を15種類の魚類ビテロジェニン(Vg)の配列と比較した.まず全Vg中に,(1)のN末端4残基を除いた部位と相同性の高い部分が見出された.次に(2)および(3)に関しては,ニジマスとイワナのVg中に相同性の高い部位が存在したが,他のVgでは5割程度の配列が一致する配列しか確認できなかった.一方,ニジマスとイワナのVg中には(4)と一致する配列がみいだされ,その他の魚類Vgでも,1-2残基のみが類似アミノ酸に置換した相同性の高い配列を含んでいた.以上の結果より,(2)と(3)はサケ科魚卵間の抗原交差性に関与するエピトープを含んでいると考えられる.一方,(1)と(4)は,広範囲の魚種間の抗原交差性に関わるエピトープを含んでいる可能性が高い.
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Research Products
(2 results)