2009 Fiscal Year Annual Research Report
農業施策における競争型助成金の導入可能性と条件整備に関する研究
Project/Area Number |
21580270
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊庭 治彦 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (70303873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 明広 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター, 主任研究員 (20355465)
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Keywords | 農業経営支援 / 競争型助成金 / 集落営農 / 農業改良普及事業 / 農村参入 / Farm to School Program |
Research Abstract |
今年度は、主に米国の小規模農場に関わる競争型助成金に関して調査を行い、大きくは二つの視点からの研究成果を得た。第一の視点は、NPOによる小規模農場支援と競争型助成金制度の効率性についてである。具体的には、第一に、NPOが有する高い専門的知識や技術により、小規模農場に対する競争型助成金制度が効率化している。第二に、小規模農場はセーフティネットとして機能するネットワークを形成し、競争型助成金の獲得リスクの低減を図っている。第三に、アドボカシー組織は小規模農場に対する効果的で適切な政策と競争型助成金の策定に重要な役割を果たしている。以上のことは、低額の予算と混合福祉経済社会という条件下においては、競争的助成金と優れた支援NPOの組み合わせにより小規模農場に対する支援が効果的かつ効率的に行われえることを意味する。 次に、第二の視点は、新たな事業に取り組む上での助成金の非効率性と競争型助成金の効果についてである。具体的には、第一に、新たな事業への取り組みに対する使途制限の緩やかな助成金は、少額ではあってもブースターとして機能することが可能である。ただし、そのためには農業者の事業への関心や意欲の高さが必要条件となる。第二に、事業量に比例した変動費への助成は、柔軟な事業構造の形成を促進する。第三に、初期投資に関わる農業者の負担を、助成金に依存せず自己責任を伴う方法で軽減することは、事業への取り組みのブースターになると同時に、採算性を確保することが事業運営の最優先課題となる。この結果、柔軟性、臨機応変性を備えた事業運営が行われるこというメリットを生み出す。以上のことから、初期投資助成型の非効率化が進む分野においては、変動費助成型ヘシフトすることと、変動費助成型の適正な運用がはかれる制度設計が必要であることが帰結できる。
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Research Products
(8 results)