2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580290
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 長市 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30162374)
|
Keywords | カドミウム / 客土 / 浸透型 / 生育収量 / 根のカドミウム濃度 |
Research Abstract |
カドミウム汚染水田の対策は、客土が中心で進められてきている。また、対処療法的方策として常時湛水栽培が実施されている。しかし、その値がバラツキその原因の解明が残された課題となっていた。こうした背景のもと、客土の効果を浸透型との関係で解明することを試みたのが本研究の目的である。 下層が酸化層になるか還元層になるかは、浸透型の影響も大きく受ける。本研究では、実際の汚染水田土壌を用いて、客土厚、15cm、20cm、25cm、30cm及び40cmとした場合でかつ下層の汚染土層を浸透型を変え、開放浸透及び閉鎖浸透となる成層モデル水田を作製し、このモデルに稲(つがるロマン)を15本移植し実験を行った。各層の酸化還元電位は、ORP電極qを用い測定した。施肥は全層施肥とし、追肥は実施なかった。土層は、作土層12.5cm、すき床層10cm、心土層35cmとし、汚染土は客土層直下に15cm厚で存在すると仮定し、成層水田模型を作製した。減水深は20-30cm/dayを目標とした。これらの稲の生育調査及び玄米中のカドミウム濃度および根の中のカドミウム濃度測定実験は、2009年から2011年までの3か年にわたり実施した。 その結果、客土下層が開放浸透とした場合、同客土厚が閉鎖浸透となる場合に比べ、玄米中のカドミウム濃度が大きくなる結果が、客土厚15~30cmのモデルで確認されたが、客土厚40cm深のモデルでは、有意差は認められなかった。カドミウム濃度の相違は、深度別に採取した根でも認められ、特に開放浸透層におけるカドミウム濃度が閉鎖浸透層における濃度よりも高まることが確認された。生育収量における有意差は、生育では認められなかったが、穂数、玄米重では開放浸透モデルに比べ閉鎖浸透モデルが大きくなった。 以上のように、客土がある場合でかつ常時湛水栽培下でも浸透型の相違により、植物体のカドミウム濃度及び生育収量に影響を与える実態が明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)