Research Abstract |
本年度は,トラクタのシャシとキャビンの振動特性の関連の分析,トラクタ-作業機系のブレーキ特性の分析を中心に行い,トレーラ装着時の突起物乗り越し試験については,所有のトラクタでは,危険を伴う可能性があり実施を断念した。実施については,今後の課題としたい。以下,本年度の結果について纏める。 まず,トラクタのシャシ部とキャビン部の振動モードについては,加速度計の設置個数を増やし実施した。また,車体振動への影響が大きい後輪タイヤのラグ位置を合わせた場合と半ピッチずらした場合とで振動の状況について分析した。この結果,キャビン部が4個の防振ゴムでシャシ部に懸架されていることから,シャシとキャビンがそれぞれ別々に振動しており,振動モードが異なったり,同じ振動モードでも位相が逆になることもあった。また,ラグ位置を変化させた実験結果では,大きな振動が生じた走行条件,振動モードに大差はなかった。 トラクタ-作業機系のブレーキ特性の分析については,本学部附属農場のアスファルト路面を供試して実施した。なお,ジャックナイフ現象を回避するため,トレーラ側の連動ブレーキを利用して試験を実施し,ブレーキを踏んでから停止するまでの走行距離やブレーキの踏圧力等との関係を明らかにした。この結果,1)トラクタのブレーキペダルの踏圧と制動距離の一般的関係は,指数関数的傾向を示し,踏圧が大きくなるほど制動距離は小さくなった。2)トラクタ単体での制動試験の結果,踏圧が大の条件では,停止距離の最小値が5,0mとなり保安基準を満たしていた。3)トレーラに1.2tのトラクタ及び1.995tのトラクタを積載した場合は,停止距離の最小値が5.69m及び6.50mとなり,保安基準より大きくなっていた。本トレーラの最大積載量は,2.5tであることから,最大積載時には更に停止距離が延びると予想され,十分な安全対策を取ることが望まれる。
|